症状:60代男性が肘の痛みを訴えて来院。日常の仕事で肘に負担がかかり、痛みが悪化したとのことでした。首のコリや腕のしびれがあり、斜角筋症候群の可能性も考えられます。また、胸鎖乳突筋の緊張が見られました。体質としては食後にガスが溜まりやすく胃の虚、腹診で腎虚の状態も示唆されました。
【治療の流れ】 初回の治療では、まず問診を通じて痛みや不快感の原因を探りました。仕事の負担や生活習慣の影響を詳しく聞き取り、また触診を通じて斜角筋や胸鎖乳突筋の状態を確認しました。その後、肘関節部の治療と並行して、斜角筋や胸鎖乳突筋の緊張を緩和する施術を行いました。さらに、胃の虚や腎虚に対する治療も行い、全身のバランスを整えることを目指しました。
【治療内容のポイント】 斜角筋症候群や胸鎖乳突筋の緊張が肘の痛みに影響を与えている可能性がありました。そのため、肘関節部の治療に加えて、これらの筋肉の状態を緩和する施術を重点的に行いました。また、胃の虚や腎虚といった体質の要因も考慮し、それらに対する適切な治療を行いました。このように、症状の根本的な原因にアプローチすることで、痛みの軽減や改善を図りました。
【治療の効果】 3回目の来院時には、症状がほとんど感じられないと報告を受けました。肘の痛みが軽減し、日常生活に支障をきたすことが少なくなりました。施術を通じて、斜角筋症候群や胸鎖乳突筋の緊張が緩和され、肘の痛みにも改善が見られました。また、胃の虚や腎虚に対する治療も効果を示し、全身の調整が促進されたことが考えられます。
【上腕骨外側上顆炎について】 上腕骨外側上顆炎は、テニス肘とも言われます。肘の外側に痛みや腫れが生じる疾患であり、主に上腕骨の外側の突起(上顆)周辺で炎症が起こることが特徴です。これは、反復的な運動や負荷が原因となり、特に肘関節部の過度の使用が関与することがあります。患者さんの症状や理学検査の結果から、上腕骨外側上顆炎の可能性が考えられました。
【胃の虚と腎虚について】 東洋医学において、胃の虚は消化器系のバランスが崩れ、胃の機能が低下した状態を指します。食後にガスが溜まりやすいといった症状が現れることがあります。一方、腎虚は老化の一つで、体の根本的なエネルギー源が不足している状態を指します。腹診で下腹部に力がなく、小腹不仁の状態が見られることがあります。これらの体質的な要因も、肘の痛みに影響を与える可能性があります。
【治療の考察】
この治療事例では、肘の痛み(上腕骨外側上顆炎)に対するアプローチとして、問診、触診、施術、およびセルフケアのアドバイスを組み合わせた総合的な治療が行われました。以下にその考察をまとめます。
- 問診と触診の重要性: 治療の最初の段階である問診と触診は、症状や体の状態を正確に把握するために不可欠でした。患者の仕事の負担や生活習慣、体質などの情報を収集することで、症状の原因を特定し、適切な治療法を選択する基盤となりました。また、触診によって斜角筋症候群や胸鎖乳突筋の緊張、上腕骨外側上顆炎の可能性などが把握され、治療方針の立案に役立ちました。
- 緊張の緩和と全身の調整: 治療では、肘関節部のみならず、斜角筋や胸鎖乳突筋などの周辺筋肉の緊張を緩和する施術が行われました。これにより、肘の痛みの原因となる筋肉の不快感が軽減され、症状の改善が促進されました。また、胃の虚や腎虚といった体質的な要因にもアプローチし、全身のバランスを整えることで、症状の緩和に寄与しました。
- セルフケアの重要性: 治療の最後には、患者さんに対してセルフケアのアドバイスが提供されました。これによって、患者が日常生活で自ら症状を軽減するための方法や予防策を理解し、実践することが期待されます。セルフケアの指導は、治療効果の持続や再発の防止につながる重要な要素です。
- 症状の改善と治療効果の確認: 3回目の来院時には、患者の症状がほとんど感じられないとの報告がありました。これは、治療の効果が現れ、肘の痛みが軽減されたことを示しています。治療の効果が確認されたことで、患者さんと治療者の信頼関係が強化され、患者さんのモチベーションや治療の継続に寄与するでしょう。
以上の点から、問診、触診、施術、セルフケアのアドバイスという治療の流れは、症状の根本的な原因にアプローチし、患者の症状を改善するために効果的であったと言えます。
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