ぎっくり腰に悩む50代の男性の治療事例をご紹介します。
【患者さんの症状】 患者さんは、1日前に腰を痛め、来院時は痛みのために前かがみの姿勢でした。軽い動作で痛みが発生し、次第に悪化していきました。過去にヘルニアの既往歴があり、腰腸肋筋あたりの腰の外側の拘縮と腰椎と仙骨周辺の筋肉が拘縮していることが触診で確認されました。東洋医学的な診断では、胃の気が落ちており、トイレも近いため腎虚傾向の体質で腰をいためやすいと判断されました。
【治療の流れ】
- 問診: 患者さんの痛みの経緯や生活状況について詳しくお伺いしました。過去の病歴や腰の状態についても詳しく聞き取りました。
- 触診: 腰や仙腸関節周辺の筋肉の拘縮を確認しました。また、胃の気の落ち込みを感じ取りました。
- 治療: 鍼灸治療を行い、腰周辺の筋肉の緊張を緩和し、胃の気を整えることを目指しました。
- 治療の結果確認: 初回治療後、患者さんは翌日の調子が良くなりましたが、また痛みが出たため1週間後に2回目の来院をしました。2回目の治療直後から痛みが取れ、姿勢も良くなりました。
- セルフケアのアドバイス: 腰をいためやすい体質であることから、適切な姿勢や体の使い方についてのアドバイスを行いました。
【治療の効果】 治療を受けることで、患者さんの腰の痛みが軽減され、姿勢も改善されました。定期的な治療を通じて、症状の継続的な改善を目指し、現在も治療を継続中です。
【ポイント】 ぎっくり腰などの怪我の直後は炎症反応が強いため、治療の効果が出にくいことがあります。しかし、患者さんの場合は怪我から時間が経っており、治療の効果が出やすかった点がポイントです。怪我をした直後は安静にして痛みが上昇する傾向の場合は治療が難しい場合があります。
治療事例の考察:
この治療事例では、ぎっくり腰に悩む50代男性の症状に対する鍼灸治療の効果が示されました。以下は治療の考察です:
- 問診と触診の重要性: 患者の症状や過去の病歴を詳しく把握することで、胃の気が落ちているという東洋医学的な診断や、腰の周辺の筋肉の拘縮などの状態を確認できました。これにより、治療プランを個々の状況に合わせて立てることが可能となりました。
- 治療のアプローチ: 鍼灸治療を通じて、腰周辺の筋肉の緊張を緩和し、胃の気を整えることが目指されました。特に、胃の気の落ち込みに注目し、それに対する治療を行った点が重要です。
- 治療の効果と継続的なケア: 初回治療後に痛みの軽減が見られ、2回目の治療直後から痛みが取れ、姿勢も改善されました。これは、適切な治療アプローチとセルフケアのアドバイスによるものであり、定期的な治療を通じて症状の改善を継続することが重要です。
以上の考察から、症状や体質に合わせた適切な治療プランと、定期的な治療とセルフケアの継続が、ぎっくり腰などの症状に対する鍼灸治療の効果を最大限に引き出すために重要であると言えます。