生理痛にお悩みの20代女性|生理前から続く腹痛が軽減した鍼灸施術の症例

今回は、約1年前から生理前と生理中の腹痛に悩んでいた20代女性の症例をご紹介します。

生理痛は多くの女性が経験する症状ですが、痛みの程度には個人差があります。「生理だから痛くても仕方がない」と我慢している方も少なくありません。しかし、夜間に痛みで目が覚める、学校や仕事に支障が出る、鎮痛薬が効きにくいなど、生活への影響が大きい場合には、婦人科で原因を確認することも大切です。

今回の患者様は、生理中だけではなく生理が始まる前から腹痛が起こることに悩んでいました。さらに夜間痛、食欲不振、イライラしやすいといった症状もみられました。

当院では症状の出方や月経周期との関係などを確認し、東洋医学的な状態として「瘀血(おけつ)」に着目して施術を行いました。

※以下は一患者様の施術経過をご紹介するものであり、すべての方に同様の結果が得られることを示すものではありません。

1.患者様の悩み・施術内容

来院時の状態

患者様は20代の女性です。

約1年前から、生理前と生理中に腹痛が起こる状態が続いていました。

特に気になっていたのが、生理中だけでなく、生理が始まる前から痛みが現れることでした。また、夜間にも腹部の痛みがあり、食欲が低下することもありました。そのほか、生理前にはイライラしやすいという変化もみられていました。

生理痛は医学的には「月経困難症」と呼ばれ、月経に伴って起こる下腹部痛や腰痛などの症状を指します。月経困難症には、明らかな病気が認められない「機能性月経困難症」と、子宮内膜症や子宮腺筋症、子宮筋腫などの病気が背景にある「器質性月経困難症」があります。

そのため、鍼灸院では婦人科疾患の有無を確定することはできません。痛みが強い場合、症状が悪化している場合、月経時以外にも強い痛みがある場合などには、婦人科で適切な診察を受けることが重要です。

当院で行った施術

今回の患者様については、症状の経過を確認したうえで、東洋医学でいう**「瘀血(おけつ)」を整えることを目的とした施術**を行いました。

瘀血とは、東洋医学で用いられている身体の状態を表す概念の一つです。現代医学における特定の病名や「血液が実際に滞っている状態」を意味するものではありません。

当院では、生理痛という症状だけをみて施術方法を決めるのではなく、痛みがいつから始まったのか、生理前と生理中では症状がどのように変化するのか、食欲や睡眠、身体全体の状態なども確認しながら施術方針を考えました。

生理が始まってから痛みに対応するのではなく、今回は生理前に2回の施術を行い、その後の月経時の状態を確認する方法をとりました。


2.生理痛について

生理痛とは

生理痛とは、月経に伴って起こる下腹部の痛みや腰痛などの総称です。医学的には、月経に伴って日常生活に支障をきたすような症状がみられる状態を「月経困難症」と呼びます。

生理痛では、下腹部が締め付けられるように痛む、重く感じるといった症状が代表的です。人によっては腰痛、吐き気、下痢、頭痛、めまいなどを伴う場合もあります。米国産科婦人科学会(ACOG)も、月経困難症では月経に伴う痛みに加えて、吐き気、嘔吐、下痢、頭痛、めまいなどが生じることがあると説明しています。

月経困難症は大きく「機能性」と「器質性」に分けられます。機能性月経困難症では、子宮などに明らかな病変が確認されないにもかかわらず痛みが起こります。一方、器質性月経困難症では、子宮内膜症、子宮腺筋症、子宮筋腫などの疾患が痛みの背景に存在することがあります。

したがって、「生理痛だから病院へ行かなくても大丈夫」と一律に判断することはできません。特に毎月の生活に影響するほど痛む場合や、以前より痛みが強くなっている場合には、婦人科で相談することが大切です。

生理痛の原因

病気を背景としない機能性月経困難症の痛みには、プロスタグランジンという体内で作られる物質が深く関係しています。

月経が始まる時期には子宮内膜からプロスタグランジンが産生され、子宮の筋肉を収縮させます。この働き自体は月経に伴う生理的な反応ですが、プロスタグランジンの作用などによって子宮が強く収縮すると、下腹部の痛みにつながります。日本産科婦人科学会の「産婦人科診療ガイドライン―婦人科外来編2023」でも、機能性月経困難症ではプロスタグランジンなどの内因性生理活性物質による子宮の過収縮が関係するとされています。

一方、すべての生理痛をこの仕組みだけで説明することはできません。

生理痛には、子宮内膜症や子宮腺筋症、子宮筋腫などが関係している場合があります。このような原因によるものは器質性月経困難症に分類されます。特に、以前はそれほど痛くなかったのに徐々に悪化してきた、生理期間以外にも骨盤周辺が痛む、一般的な治療を行っても痛みが十分改善しないといった場合には、背景となる疾患について調べることが重要です。

鍼灸院でこれらの疾患を診断することはできないため、必要に応じて婦人科を受診し、医学的な評価を受けることが大切です。

生理痛のときにやってはいけないこと

まず避けたいのは、強い生理痛を「いつものことだから」と長期間我慢し続けることです。

生理痛そのものは珍しい症状ではありませんが、強い痛みの背景に子宮内膜症などの疾患が存在することがあります。痛みが強い、以前より悪化している、毎月学校や仕事を休まなければならないなど、日常生活への影響が大きい場合には婦人科への相談をおすすめします。ACOGも、強い月経痛や日常生活を妨げる月経痛について医療機関へ相談することを勧めています。

また、鎮痛薬を必要以上に避ける必要もありません。日本産科婦人科学会のガイドラインでは、機能性月経困難症に対してNSAIDsなどの鎮痛薬による治療が推奨されています。効果が十分でない場合には、低用量エストロゲン・プロゲスチン配合薬やプロゲスチン製剤などが選択肢となります。

ただし、薬には適応や禁忌があります。持病がある場合や他の薬を使用している場合などは、自己判断で使用量を増やしたりせず、医師や薬剤師に相談してください。

そして、鍼灸を受けているからという理由で必要な医療機関への受診を中断することも適切ではありません。鍼灸と婦人科医療を対立するものとして考えるのではなく、症状に応じて必要な医療を適切に選択することが大切です。


3.施術経過と結果

今回の患者様には、生理が始まる前の時期に瘀血を整えることを目的とした施術を2回行いました。

最初の生理周期では、生理前に2回施術を行ったところ、それまで感じていた腹痛が軽減しました。

そこで、次の月経周期についても同様に、生理前の時期に施術を実施しました。

当院では、一度症状が軽くなったという結果だけで判断するのではなく、次の月経周期でも同様の状態が維持されるかを確認しました。生理痛は月経周期に伴って繰り返す症状であるため、一周期だけではなく、その後の経過をみることが重要だと考えています。

その後も同様に、生理前に2回の施術を1クールとして、合計3クール施術を行いました。

3クール終了時には、来院時に訴えていた生理前・生理中の腹痛がみられなくなったため、今回の施術は終了となりました。

今回の施術経過

  • 約1年前から生理前・生理中の腹痛が続いていた
  • 夜間痛、食欲不振、イライラしやすい状態もみられた
  • 生理前に瘀血を整えることを目的とした施術を2回実施
  • 1クール目終了後、生理痛が軽減
  • 同様の施術を月経周期に合わせて継続
  • 生理前2回の施術を合計3クール実施
  • 3クール終了時には、生理前・生理中の腹痛がみられなくなり施術終了

なお、これは今回の患者様にみられた経過であり、鍼灸施術によってすべての生理痛が同様に改善することを保証するものではありません。

また、今回行った「瘀血を整える施術」は東洋医学的な考え方に基づいたものです。現代医学で確認されている生理痛の原因そのものを「瘀血」と断定するものではありません。

4.担当者からのメッセージ

生理痛は、多くの女性が経験する身近な症状です。そのため、「みんな痛いから」「生理だから仕方がない」と我慢してしまう方もいらっしゃいます。

しかし、夜眠れないほど痛む、仕事や学校を休む、毎月強い痛みが繰り返されるなど、生活に影響するほどの生理痛まで我慢する必要はありません。

生理痛には、明らかな病気を伴わない機能性月経困難症だけでなく、子宮内膜症などが背景にある器質性月経困難症もあります。症状が強い場合や悪化している場合には、まず婦人科で原因を確認することが重要です。

若木台はりきゅう院では、生理痛という症状だけを見るのではなく、いつから症状があるのか、月経周期のどの時期に痛むのか、痛み方はどうか、食欲や睡眠など身体全体にどのような変化があるのかを確認しながら、一人ひとりの状態に合わせて施術方針を考えています。

今回の患者様の場合は、生理が始まって痛みが強くなってからではなく、生理前の時期から施術を行い、月経周期ごとに変化を確認していきました。その結果、1クール目から痛みが軽減し、3クール終了時には腹痛がみられなくなったため施術を終了しました。

「毎月、生理が来るのが不安」「生理前からお腹が痛くなる」「生理痛で日常生活に影響が出ている」といったお悩みがある方は、痛みを我慢し続けず、まずは適切な医療機関に相談することが大切です。

そのうえで鍼灸を選択肢の一つとして検討される場合には、現在のお身体の状態を丁寧に確認しながら施術を進めていきます。

福津市で生理痛にお悩みの方は、若木台はりきゅう院までご相談ください。