1.患者様の悩み・施術内容
患者様情報
- 年齢・性別:60代・男性
- 主な症状:腰痛
- お悩み:1年近く腰痛が続いている
来院までの経緯
今回ご紹介する患者様は、約1年前から腰のだるさと鈍い痛みが続き、当院へ来院されました。
「朝から腰が重い日が多い」「疲れがたまると腰痛が強くなる」といった症状が続いており、特に疲労が蓄積した日には腰の違和感が強くなるとのことでした。
また、「食事量が少ない日には腰痛が悪化するように感じる」「足全体がだるく、力が入りにくい」といった症状も伴っていました。さらに、疲れやすさ、めまい、動悸などもあり、腰だけではなく全身の不調を感じている状態でした。
当院では、まず現在の腰痛だけを見るのではなく、症状が始まった経緯や生活習慣、疲労の程度、睡眠、食事の状況などを詳しく確認しました。その後、姿勢や筋肉の状態、関節の動き、腹部や脈の状態などを総合的に確認し、身体全体のバランスを評価しました。
局所だけに刺激を加えるのではなく、全身の状態を考慮した施術を行い、患者様の体力や回復力に配慮しながら、身体への負担が少ない鍼灸施術を進めました。
2.症状の情報
腰痛について
腰痛とは
腰痛とは、腰の周辺に痛みや重だるさ、不快感などを感じる症状の総称です。厚生労働省や日本整形外科学会でも、腰痛は非常に多くの方が経験する症状の一つとされています。
腰痛には、椎間板ヘルニアや脊柱管狭窄症、圧迫骨折など原因が明確なものもありますが、多くは画像検査だけでは明確な原因を特定できない「非特異的腰痛」に分類されます。そのため、症状の程度だけで原因を判断することはできず、問診や身体診察を含めた総合的な評価が重要です。
慢性的な腰痛では、腰だけでなく、お尻や太もものだるさ、疲れやすさによって活動量が低下し、さらに筋力や体力が落ちるという悪循環が生じることがあります。また、長期間痛みが続くことで日常生活への不安やストレスが加わり、症状が長引くことも少なくありません。
そのため、慢性的な腰痛では、痛みがある部位だけに着目するのではなく、身体全体の状態や生活習慣、日頃の負担を含めて評価し、それぞれの状態に応じた対応を行うことが大切です。
腰痛の症状原因
腰痛は一つの原因だけで起こるとは限らず、複数の要因が重なって発症・持続すると考えられています。
代表的な原因としては、加齢に伴う椎間板や関節の変化、筋肉や靱帯への負担、長時間の座位や立位、運動不足、過度な身体活動などが挙げられます。また、睡眠不足や疲労の蓄積、精神的ストレスなども慢性腰痛に関係することが報告されています。
近年の診療ガイドラインでは、慢性腰痛は身体的な問題だけではなく、心理的・社会的要因も含めて評価する「生物・心理・社会モデル」の考え方が推奨されています。痛みが長期間続く場合には、筋肉や関節だけでなく、生活習慣や仕事、睡眠、活動量などを総合的に見直すことが重要です。
今回の症例では、腰痛に加えて疲労感、下肢のだるさ、めまい、動悸など複数の症状がみられましたが、これらの症状が腰痛の直接的な原因であるとは断定できません。そのため当院では、患者様の訴えを丁寧に確認し、身体全体の状態を把握したうえで施術を進めました。
腰痛のときにやってはいけないこと
腰痛があると、「安静にしていれば早く治る」と考える方も少なくありません。しかし、現在の診療ガイドラインでは、重篤な病気や骨折などが疑われない腰痛では、必要以上の長期間の安静は推奨されていません。
痛みが強い時期には無理を避けることが大切ですが、症状が許す範囲で日常生活を続けたり、少しずつ身体を動かしたりすることが回復につながるとされています。
一方で、急に重い物を持ち上げる、無理な前かがみ姿勢を長時間続ける、痛みを我慢して過度な運動を行うことは、症状を悪化させる可能性があります。
また、自己判断だけでマッサージやストレッチを強く行うことも、状態によっては負担になることがあります。痛みが長期間続く場合や、足のしびれや筋力低下、排尿・排便の異常、発熱、急激な体重減少などを伴う場合には、医療機関での評価が必要です。
慢性的な腰痛では、適切な評価を受け、自分の身体の状態に合った施術や運動、生活習慣の改善を継続することが、症状の改善や再発予防につながります。
3.治療結果と経過
初回の施術では、患者様の全身状態を確認したうえで、身体への負担に配慮しながら施術を行いました。
今回の症例では、身体全体の状態を考慮し、気や血を補うことを目的とした鍼灸施術を実施しました。
施術後も身体の変化を確認しながら、その都度状態に合わせて施術内容を調整しました。
3回目の施術後には、腰痛と下肢のだるさが軽減し、日常生活で感じる負担が少しずつ減ってきました。
6回目の施術後には、長く続いていた腰のだるさはほとんど気にならなくなり、来院時にみられていた疲れやすさやめまい、動悸などの随伴症状についても軽減がみられました。
その後も身体の状態を確認しながら施術を継続し、10回の施術終了時には、腰痛を含めた自覚症状は改善し、日常生活を支障なく送れる状態となったため施術を終了しました。
※本症例は一例であり、施術による効果には個人差があります。すべての方に同様の結果が得られることを保証するものではありません。
4.担当者からのメッセージ
慢性的な腰痛は、痛みが長く続くことで「もう改善しないのではないか」と不安になる方も少なくありません。
しかし、腰痛は一人ひとり症状の現れ方や身体の状態、生活背景が異なるため、まずは現在の状態を丁寧に確認することが大切です。
当院では、痛みがある部位だけを見るのではなく、問診や身体の状態を確認しながら、一人ひとりに合わせた施術を心掛けています。また、施術だけではなく、日常生活で気を付けたいことや身体への負担を減らす方法についても分かりやすくお伝えしています。
「長年腰痛が続いている」「疲れると腰痛が悪化する」「検査では大きな異常はないと言われたがつらい」といったお悩みをお持ちの方は、一人で抱え込まず、お気軽にご相談ください。現在のお身体の状態を丁寧に確認し、適切な施術方針をご提案いたします。






