6カ月続いた腰まわりの痛みが軽減した60代女性の鍼灸施術例

今回は、約6カ月にわたり腰の周囲から肋骨の下あたりにかけて痛みを感じていた、60代女性の症例をご紹介します。

腰痛というと、腰の中央や腰椎の周囲だけが痛むイメージを持たれる方も多いかもしれません。しかし実際には、腰の横側や背中に近い部分、骨盤の上、肋骨の下など、広い範囲に痛みや重だるさを感じることがあります。

今回の患者様も、腰だけではなく「腰の周りから肋骨の下あたりまで痛い」という状態が半年ほど続いていました。また、日常生活の中でストレスを強く感じると、痛みが悪化する傾向がみられていました。

当院では症状が出ている場所だけを見るのではなく、痛みが始まった時期、悪化する状況、身体全体の状態などを確認しながら施術方針を検討しました。

その結果、東洋医学的な身体の見方では「気の滞り」がみられる状態と考え、その状態を整えることを目的とした鍼灸施術を行いました。

施術を継続したところ、3回目の施術後から腰まわりの痛みが軽減し、6回目の施術時には、患者様から痛みを感じなくなったとの申告がありました。

※以下は一例であり、すべての腰痛に同様の経過や結果を保証するものではありません。腰痛の原因や経過には個人差があります。

1.患者様の悩み・施術内容

半年間続いていた腰まわりの痛み

患者様は60代の女性です。

来院される約6カ月前から、腰の周囲に痛みを感じるようになりました。痛みは腰だけに限らず、肋骨の下あたりまで広がって感じることがあり、なかなか改善しないことに悩まれていました。

また特徴的だったのが、ストレスを感じたときに痛みが強くなるという点です。

慢性的な腰痛では、筋肉や関節など身体的な要因だけではなく、睡眠、活動量、心理的な負担など、さまざまな要素が症状の強さに関係する場合があります。そのため、「腰が痛いから腰だけを施術する」という単純な考え方ではなく、症状がどのような状況で変化するのかを確認することが大切です。

ただし、今回ストレスを感じたときに痛みが悪化していたからといって、「ストレスが腰痛の原因だった」と断定することはできません。

ストレスと痛みの感じ方には関連がみられることがありますが、腰痛には筋肉、関節、神経、内臓疾患などさまざまな原因があります。そのため当院でも、患者様のお話を聞きながら身体の状態を確認し、施術を進めました。

東洋医学的には「気の滞り」を整える施術

今回の患者様について、東洋医学的な評価では「気の滞り」が関係している状態と考えました。

「気の滞り」とは東洋医学で用いられる身体の状態を表す考え方であり、西洋医学における病名や医学的な原因を意味するものではありません。

当院では、このような東洋医学的な身体の見方も取り入れながら、その方の状態に合わせて鍼灸施術を行っています。

今回は、身体の緊張や状態を確認しながら、東洋医学的に気の流れを整えることを目的とした施術を行いました。

2.腰まわりの痛みについて

腰まわりの痛みとは

一般に腰痛とは、腰から臀部にかけて感じる痛みや不快感の総称として使われています。ただし、「腰痛」という言葉は一つの病気を示すものではありません。

痛む場所も人によって異なり、背骨の中央が痛む方もいれば、腰の左右、骨盤の上、臀部、背中に近い部分などに症状を感じる方もいます。

今回の患者様の場合には、腰の周囲から肋骨の下あたりまで痛みを感じていました。

腰痛は、急に発症して比較的短期間で軽快するものもあれば、3カ月以上続く慢性的な腰痛もあります。6カ月ほど症状が続いていた今回のケースは、期間だけでみれば慢性的な腰痛にあたる状態でした。

慢性腰痛では、必ずしも画像検査で確認できる一つの原因だけによって痛みが続いているとは限りません。そのため、痛む場所だけでなく、どのような動作で痛むのか、いつ強くなるのか、生活の中で症状がどのように変化するのかなどを総合的に確認することが重要になります。

また、腰の痛みの中には、腎臓や尿路、消化器など腰以外の問題によって生じるものもあります。そのため、急激に強い痛みが出た場合や、発熱、血尿、しびれ、筋力低下などを伴う場合には、医療機関での評価が必要です。

腰まわりの痛みの原因

腰痛の原因は一つではありません。

筋肉や筋膜への負担、関節の問題、椎間板の変化、神経への刺激など、さまざまな状態が腰の痛みに関係します。一方で、検査を行っても痛みを一つの組織だけで説明できない腰痛も少なくありません。

特に慢性化した腰痛については、身体的な要因だけではなく、運動不足、活動量の低下、睡眠、仕事や生活上の負担、不安やストレスなど、複数の要因が痛みの感じ方や長期化に関係することがあります。

これは「腰痛は気持ちの問題」という意味ではありません。

痛みは神経系によって認識される身体感覚であり、その強さは身体の状態だけではなく、睡眠不足や心理的負担などによって変化することがあります。

今回の患者様には「ストレスを感じると腰まわりの痛みが悪化する」という明確な傾向がありました。そのため、症状を評価するうえで重要な情報の一つとして確認しました。

ただし、患者様の腰痛の原因そのものがストレスだったとは断定していません。

腰痛が半年以上続いている場合には、「年齢のせい」「疲れのせい」などと自己判断せず、必要に応じて医療機関で原因となる疾患がないか確認することも大切です。

腰まわりが痛いときにやってはいけないこと

腰が痛いと、「動かさないほうが治りやすいのではないか」と考え、長期間安静にする方がいます。しかし、一般的な腰痛では、必要以上に長く安静を続けることは推奨されていません。

もちろん、激しい痛みがある時期に無理をして運動する必要はありません。痛みが強くなる動作や重い物を持つ作業などは、一時的に避けたほうがよい場合があります。

一方で、症状が許す範囲で日常生活の活動を続けることは、慢性腰痛への対応として重要とされています。

もう一つ注意したいのが、「腰痛だから筋肉が硬いに違いない」「骨盤がずれているから痛い」など、一つの原因に決めつけて自己流の強い刺激を繰り返すことです。

原因が明確でない状態で強いマッサージや過度なストレッチを繰り返し、痛みが悪化するようであれば中止する必要があります。

また、強い痛みが急に出た、転倒や外傷後に痛みが始まった、発熱がある、夜間も強く痛む、足に強いしびれや力の入りにくさがある、排尿・排便に異常があるなどの場合には、鍼灸だけで対応しようとせず、医療機関を受診することが重要です。

腰痛は非常に多くの方が経験する症状ですが、「いつもの腰痛」と自己判断しないことも大切です。

3.施術の経過と結果

今回の患者様には、東洋医学的な評価をもとに、気の滞りを整えることを目的とした施術を行いました。

施術開始後すぐにすべての痛みがなくなったわけではありません。

経過を確認しながら施術を続けたところ、3回目の施術後には、それまで続いていた腰まわりの痛みが軽減しました。

その後も身体の状態と症状の変化を確認しながら施術を継続しました。

そして6回目の施術時には、患者様から腰まわりの痛みを感じなくなったとの申告があり、今回の施術を一区切りとしました。

施術経過としては、

「約6カ月間、腰周囲から肋骨の下あたりまで痛みが続いていた」

という状態から、

「3回目の施術後に症状が軽減」

し、

「6回目の施術時には痛みを感じなくなった」

という経過でした。

これはあくまでも今回の患者様個人の経過です。

腰痛の原因、症状の強さ、年齢、生活環境などは一人ひとり異なるため、「6回施術すれば腰痛が治る」という意味ではありません。また、鍼灸施術の効果や必要となる施術回数には個人差があります。

4.担当者からのメッセージ

腰痛が何カ月も続いていると、

「このままずっと痛いのではないか」

「年齢だから仕方がないのではないか」

と不安になる方もいらっしゃいます。

しかし、腰痛は原因や経過が人によって大きく異なります。

だからこそ、当院では痛む場所だけを確認するのではなく、「いつから痛むのか」「どこまで痛むのか」「どのようなときに悪化するのか」といった情報を丁寧に確認することを大切にしています。

今回の患者様では、腰から肋骨の下にかけて約6カ月間痛みが続き、ストレスを感じたときに悪化するという特徴がありました。

そこで身体の状態を確認しながら、東洋医学的には気の滞りを整えることを目的として施術を行いました。その結果、3回目の施術後から症状が軽減し、6回目の施術時には痛みを感じなくなったとのことでした。

ただし、腰痛の中には鍼灸施術よりも先に医療機関での検査や治療が必要なケースもあります。

当院では、すべての腰痛を同じものとして扱うのではなく、その方の症状や経過を確認しながら施術を行うことを大切にしています。

長く続く腰まわりの痛みでお悩みの方は、「腰だけの問題」と決めつけず、ご自身の身体の状態を一度丁寧に見直してみることも大切です。

※本記事は当院で実際に施術を受けた一症例の経過を紹介したものです。施術による変化には個人差があり、すべての方に同様の結果を保証するものではありません。また、強い痛みやしびれ、発熱、筋力低下、排尿・排便の異常などがある場合には、医療機関への受診をご検討ください。