〜皮膚・呼吸器の不調は「血」と「陰」の不足から始まる〜
秋から冬にかけて、空気が乾燥する季節になると、
・肌が粉をふく
・かゆみが出やすくなる
・喉がイガイガする
・空咳が続く
・鼻や口の中が乾く
・保湿してもすぐ乾く
といった症状を訴える方が増えてきます。
多くの方は、
「空気が乾燥しているから仕方ない」
「年齢の問題」
「水分をもっと摂ればいい」
と考えがちですが、東洋医学ではこれらの症状をもっと深いところから捉えます。
乾燥は、単なる外的環境の影響ではなく、
身体の内側の潤いを保つ力が弱っているサインと考えるのです。
東洋医学における「潤い」の考え方
東洋医学では、身体の潤いを支えているものとして、
主に以下の2つが重要だと考えます。
・血(けつ)
・陰(いん)
皮膚、呼吸器、粘膜、髪、爪などが正常な状態を保つためには、
この「血」と「陰」が十分に存在し、全身に行き渡っている必要があります。
これらが不足すると、
まず影響を受けやすいのが皮膚と呼吸器です。
血虚とは何か 〜潤す力の低下〜
血は、人体を構成し、生命活動を維持するために欠かせない重要な物質です。
脈中を流れながら全身に運ばれ、以下のような役割を担っています。
・皮膚を潤す
・筋肉や臓器を養う
・髪や爪を健やかに保つ
・目や喉、粘膜を潤す
つまり血は、身体を内側から潤す栄養源のような存在です。
この血が不足し、
全身あるいは特定の部位を十分に濡養できなくなった状態を
**血虚(けっきょ)**といいます。
血虚になると、
・肌が乾燥しやすい
・粉をふきやすい
・かゆみが出やすい
・唇が荒れやすい
・髪がパサつく
・爪が割れやすい
・目や喉が乾きやすい
といった症状が現れます。
特に、
・慢性的な疲労
・睡眠不足
・食事量が少ない
・偏った食生活
・長期間のストレス
が続いている方は、血虚になりやすい傾向があります。
陰虚とは何か 〜水分と潤いの不足〜
陰虚は、体内の陰陽バランスが崩れ、
水分や潤いが不足している状態を指します。
陰には、
・身体を潤す
・冷ます
・落ち着かせる
という働きがあります。
この陰が不足すると、
身体は相対的に「熱」を持ちやすくなり、
乾燥やほてりといった症状が現れます。
陰虚の特徴は、
単なる水分不足ではなく、気血不足を同時に伴うことが多い点です。
陰虚の方によくみられる症状には、
・喉や口の乾き
・空咳
・皮膚の乾燥
・寝汗
・手足や顔のほてり
・夕方から夜にかけて不調が強くなる
などがあります。
「しっかり水分を摂っているのに乾く」
という方は、陰虚が関係していることも少なくありません。
皮膚と呼吸器の深い関係
東洋医学では、皮膚と呼吸器は密接につながっていると考えます。
呼吸器が乾燥すると、
・咳が出やすくなる
・喉が荒れやすくなる
同時に、
・皮膚の潤いも失われやすくなります。
逆に、血や陰が不足すると、
皮膚と呼吸器の両方に症状が現れやすくなるのです。
「肌の乾燥」と「喉の不調」が同時に起こるのは、
偶然ではありません。
乾燥と関係の深いツボ
復溜(ふくりゅう)
復溜は、
内くるぶしの後ろとアキレス腱の間のくぼみから、指3本分上にあります。
腎の働きと深く関係し、
・体内の水分バランスを整える
・乾燥による不調を和らげる
・皮膚や喉の潤いを助ける
といった作用が期待されます。
慢性的な乾燥や、年齢とともに潤い不足を感じる方にとって、
とても重要なツボです。
三陰交(さんいんこう)
三陰交は、
内くるぶしの中心から指幅4本上、骨の後ろのふちにあります。
押すと圧痛を感じる方も多いツボです。
血・陰・水分のバランスを整える代表的なツボで、
・血虚
・陰虚
・冷えや疲労が重なった乾燥症状
に幅広く使われます。
鍼灸で考える乾燥へのアプローチ
当院では、乾燥症状に対して
「皮膚だけを見る」
「喉だけを整える」
といった施術は行いません。
問診・触診を通して、
・血虚が中心なのか
・陰虚が強いのか
・気血全体が不足しているのか
を丁寧に見極め、
全身のバランスを整える施術を行います。
血と陰が補われ、巡りが整うことで、
身体は本来の潤いを取り戻し、
皮膚や呼吸器の不調も自然と落ち着いていきます。
乾燥は身体からの重要なメッセージ
乾燥は、単なる季節の問題ではありません。
それは、身体の内側が発している重要なサインです。
毎年同じ時期に繰り返す乾燥症状がある方は、
外側のケアだけでなく、
内側から整えることを意識してみてください。
鍼灸によるやさしい施術で、
内側から潤いのある身体を目指していきましょう。






