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睡眠前の3分セルフケア:質のいい眠りをサポートするツボ

「寝ても疲れが取れない」「夜中に何度も目が覚める」「朝からだるい」――
そんな睡眠の悩みを抱える方が増えています。
現代人はストレスやスマホの光、仕事や家事のプレッシャーなど、交感神経が優位になりやすい環境に置かれています。その結果、身体がリラックスできず、眠りの質が下がってしまうのです。

今回は、東洋医学の観点から「眠る前の3分でできるツボ押しセルフケア」をご紹介します。
ポイントとなるのは【三陰交(さんいんこう)】と【太渓(たいけい)】の2つのツボ。どちらも全身のバランスを整え、深いリラックスへ導く効果が期待できます。


東洋医学が考える「眠りの質」とは

東洋医学では、眠りは「陰陽のバランス」と深く関係しています。
日中は陽が盛んになり、活動的に過ごします。夜になると、陰の気が増えて身体が静まり、休息に入ります。ところが、ストレスや過労、スマホの使用などで陽の気が過剰なままだと、心身が鎮まらず「眠れない」「眠りが浅い」などの不調が起こります。

眠りの質を整えるには、夜にしっかり「陰の気」を高めること。
そのためには、下半身を温めて気血を下げ、頭部の熱を鎮めることが大切です。
この働きを助けてくれるのが、「三陰交」と「太渓」というツボなのです。


三陰交(さんいんこう):女性の味方・心を鎮めるツボ

三陰交は、内くるぶしの中心から指幅4本上の位置にあります。
この場所には、「肝」「脾」「腎」という3つの経絡(気の通り道)が交わるという意味があり、ホルモンバランスの調整や自律神経の安定に関係する重要なツボです。

特に、ストレスや冷え、月経前後の不調に敏感な方におすすめ。
緊張した心を穏やかにし、下半身の血流を促すことで「眠りやすい体の状態」を整えます。

〈押し方〉
・親指で軽く圧をかけ、5秒押して5秒離すを5回繰り返します。
・強く押しすぎず、気持ち良いと感じる強さで行うのがポイントです。
・寝る前に足首を温めながら行うと、より効果的です。


太渓(たいけい):腎を補い、深い眠りを誘うツボ

太渓は、内くるぶしとアキレス腱の間のくぼみにあります。
東洋医学で「腎」は生命エネルギーの源とされ、年齢や疲労、ストレスによって弱りやすい部分です。腎が弱ると、気力の低下だけでなく、夜間のトイレ、浅い眠り、夢の多い睡眠などが現れます。

太渓を刺激することで腎の働きを高め、全身に「静けさ」と「安定」をもたらします。
冷え性の方にもおすすめで、下半身の血流改善とともに、心地よい眠りへと導いてくれます。

〈押し方〉
・親指でくぼみをゆっくり押し、3秒かけて押して3秒で離す。
・5〜10回を目安に、呼吸を合わせながら行います。
・足湯の後や布団に入る直前に行うと、よりリラックス効果が高まります。


■ 3分でできる「睡眠前セルフケア」手順

深呼吸を3回
肩の力を抜き、鼻からゆっくり吸って、口から長く吐きます。
呼吸を整えるだけでも、自律神経が落ち着きます。

三陰交を両足同時に5回ずつ刺激
温かく感じるまで、優しくリズムをつけて押します。

太渓を片足ずつ5回ずつ刺激
足首のくぼみを押すことで、下半身の血流が改善します。

手のひらで足全体を包み、軽くさすって終了
冷えを防ぎ、身体がじんわりと温かくなるのを感じましょう。

この流れでわずか3分。
テレビやスマホを見る代わりに、寝る前の習慣として取り入れてみてください。
数日続けるだけでも、「寝つきが良くなった」「夜中に目が覚めなくなった」という変化を感じる方が多いです。


鍼灸院での施術との違いと併用のすすめ

ご自宅でのセルフケアは、毎日のリズムを整えるために非常に有効です。
ただし、慢性的な不眠や自律神経の乱れが強い場合は、鍼灸施術を併用することで、より深い改善が期待できます。

鍼灸では、脈診・腹診・舌診などで体質を見極め、
「眠れない原因」がストレスによる気滞なのか、冷えによる血行不良なのか、
あるいは胃腸の弱りやホルモンの乱れなのかを判断します。
そのうえで、三陰交・太渓を中心に、全身の気血を整える施術を行うことで、
「自然に眠れる体」へと導いていきます。


睡眠の質を上げるための生活アドバイス

ツボ押しに加えて、次のような習慣を意識するとさらに効果的です。

  • 寝る1時間前はスマホやパソコンを控える
  • お風呂はぬるめ(38〜40℃)で15分ほど
  • カフェインは午後以降控える
  • 寝室は暗く・静か・涼しく
  • 寝る前に軽くストレッチをして呼吸を整える

こうした「小さな習慣」が、質のいい眠りを支える土台になります。


まとめ

睡眠の質を高めるためには、
「薬に頼らず、身体そのものを整える」ことが大切です。

三陰交と太渓は、どちらも全身のバランスを調える基本のツボ。
毎晩3分のセルフケアで、心身の緊張がほどけ、自然と眠りに導かれる体質へと近づいていきます。

眠りが浅い、疲れが取れない、朝がつらい――
そんな方は、ぜひ今日から「足首まわりのケア」を始めてみてください。
小さな積み重ねが、翌朝の目覚めと日中のパフォーマンスを変えていきます。