ヘルニア既往歴のある腰痛患者さんへの治療:問診と触診で見つけた根本原因

治療の流れ

問診

30代男性の患者さんは、腰痛を訴えて来院されました。症状としては、歩くとズキズキとした痛みがあり、座っていても重苦しい感覚が続く。さらに、じっとしていてもズキズキとした痛みがあるとのことでした。夕方になると右足前面にしびれが現れ、10年前に腰を痛めてから足が冷えることも確認されました。患者さんの既往歴にはヘルニアがあり、現在は食欲の低下や便秘気味、腰痛による不眠、目の疲れも併発しています。姿勢は猫背気味で、腰椎前弯が消失している状態です。

触診

触診を行うと、骨盤にうっ血が確認されました。腰椎の3、4番目に触れると、痛みが感じられることも確認できました。このことから、慢性的な怪我による瘀血が存在すると推測しました。さらに、食欲が落ちていることから、胃の気の低下があり、回復力が低下していることも考えられました。

治療内容のポイント

治療計画

治療は以下の流れで進めました:

  1. 問診:患者さんの詳しい症状と既往歴を確認し、生活習慣や現在の状態についても詳しくお聞きしました。
  2. 触診:実際に体に触れて、痛みの場所や程度、骨盤や腰椎の状態を確認しました。
  3. 治療:胃の気の向上を優先し、回復力を高めるための治療を行いました。骨盤うっ血の処置を行い、ヘルニアがある腰椎の3、4番目に刺激を与え、血流を改善させ、白血球の貪食を促進することを目指しました。
  4. 治療の結果確認:治療後の状態を確認し、症状の緩和具合をチェックしました。

具体的な治療内容

治療は、最初の3回は週1回の頻度で行いました。胃の気の向上を図るため、内臓の調整を行い、鍼灸を用いて全身の血流を改善しました。特に、骨盤のうっ血を解消するための施術を重点的に行いました。腰椎の3、4番目には直接的な刺激を与え、血流を促進し、白血球の貪食を促しました。

治療の効果

初回治療の効果

初回の治療から症状が緩和され、患者さんは「痛みが軽減された」と感じました。しかし、無理をすると再び痛みが出るため、注意が必要です。

継続治療の効果

その後、治療は月1~2回の頻度で継続しました。治療を実施してから2カ月経過した現在、無理をすると多少腰が張る程度にまで回復しています。患者さんの食欲も回復し、便秘の症状も改善されました。目の疲れも軽減され、全体的に体調が良くなったと感じています。

治療の考察

今回の30代男性の腰痛治療事例は、問診と触診を重視することで、的確な診断と効果的な治療が可能となった一例です。以下に、治療の考察を述べます。

1. 問診の重要性

患者さんの詳しい症状や既往歴を丁寧に聞き取ることで、腰痛の背景にある問題を明確にすることができました。特に、10年前の腰痛とヘルニアの既往歴、現在の食欲低下や便秘、目の疲れといった全身の状態を把握することができた点が重要です。これにより、症状が単なる腰痛だけでなく、全身の健康状態や生活習慣が影響していることがわかりました。

2. 触診による詳細な評価

触診を通じて、骨盤のうっ血や腰椎の異常を確認することができました。これにより、腰痛の原因が明確になり、適切な治療方針を立てることができました。特に、骨盤うっ血の存在や腰椎3、4番目の痛みを確認することで、具体的な治療ポイントが明確になりました。

3. 全身調整を重視した治療アプローチ

腰痛治療において、局所的な治療だけでなく、全身の調整を重視することが効果的であると確認されました。胃の気の向上を図ることで、全身の回復力を高め、治癒力を促進することができました。また、血流改善や白血球の貪食促進を目的とした治療が、腰痛の緩和に寄与しました。

4. 継続的な治療の効果

慢性的な腰痛に対しては、継続的な治療が重要であることが再確認されました。最初の3回の治療では週1回の頻度で行い、その後は月1~2回の治療を継続することで、症状の改善が見られました。患者さんの体調の変化を逐次確認しながら、治療方針を柔軟に調整することが必要です。

まとめ

今回の治療事例では、問診と触診を重視した診断と、全身調整を重視した治療アプローチが、慢性的な腰痛の改善に効果的であることが確認されました。患者さんの全身の健康状態を考慮した治療計画を立て症状の緩和と再発防止に成功しました。このアプローチは、他の慢性疾患や痛みに対する治療にも応用できると考えられます。