メニエール病は、内耳の内リンパ水腫によって引き起こされる疾患であり、典型的にはめまい、耳鳴り、難聴などの症状を特徴とします。この病気は、内耳のバランス感覚や聴覚を調整する構造に異常が生じることで発症し、めまいや耳鳴りなどの症状が周期的に現れることがあります。また、ストレスによっても引き起こされることからストレス病の一種とも言われています。
今回の治療事例では、60代の女性患者さんが仕事のストレスによりめまいが発症しました。過去にメニエール病と診断を受けた経歴があります。また、首肩のこりもひどく、ストレスと仕事の疲れから身体の気の流れが悪くなり、浮腫みが生じていると考えられています。これが耳にも影響し、めまいを引き起こしている可能性があります。
【触診】 患者さんの首肩への触診により、首肩のこりが著しく、さらに身体の気の流れが悪くなり浮腫みが生じていることが確認されました。これが耳にも影響し、めまいを引き起こしていると考えられました。
【治療】 治療では、浮腫み解消に効果があるツボを選定し、首肩への治療を行うことで頭部への血流を改善しました。患者さんが過労により身体が疲れていることから、刺激量にも注意して治療を行いました。
【治療の結果確認】 治療の直後にはめまいの感覚が軽減され、その後も来院していますが、めまいの症状は無いと報告されています。身体の状態が改善されたことが確認されました。
【セルフケアのアドバイス】 今後もストレスや過労に気を付け、定期的なリラックスやストレッチ、適度な運動を行うことをアドバイスしました。また、生活習慣の見直しや十分な睡眠を心掛けることも重要です。
当院では、個々の患者さんの現在の身体の状況に合わせて治療を行い、身体に負担の少ない治療を心がけています。局所的な治療や対処療法よりも、根本治療を重視し、自然治癒力を向上させることでお困りの症状を緩和させることを目指しています。
「治療の考察」
この治療事例を考察すると、患者さんの症状や背景を丁寧に問診し、触診を通じて身体の状態を把握した上で適切な治療を行うことが重要であることが示されています。
首肩のこりや浮腫みがメニエール病の原因となっている可能性が考えられました。鍼灸治療では、浮腫み解消に効果のあるツボを選定し、首肩への治療を通じて頭部への血流を改善しました。また、患者さんの過労による疲労も考慮し、刺激量に注意しながら治療を行いました。
治療の結果、めまいの症状が軽減されたことが確認されました。このことから、適切な鍼灸治療が患者さんの症状改善に効果的であることが示唆されます。
また、患者さんへのセルフケアのアドバイスも重要であり、ストレスや過労に気を付けつつ、定期的なリラックスやストレッチ、適度な運動を行うことで症状の予防や改善に役立つことが示唆されます。
このように、患者さんの個々の状況や症状に合わせた丁寧な問診や触診、適切な治療を行うことが、鍼灸治療において重要であることが示されました。






