五十肩(肩関節周囲炎)

60代女性の方の治療経過をご紹介いたします。右肩の痛みは20代に初発し、ずっと重だるい症状が続いていました。今年の夏から症状が悪化し、10月に当院を受診し治療を開始しました。

理学検査による診断結果は、1. 腱板損傷、2. 肩峰下滑液包炎、3. 胸郭出口症候群でした。胸郭出口症候群は肩周りの筋肉により腕の神経や血管が圧迫され、腕に痛みや痺れが生じる疾患です。肩を動かさなくても重だるい症状の原因と考えられます。

治療

診断に基づき、患部の筋肉にアプローチしました。症状が長期化しているため、東洋医学的な全身治療を行い、体質を根本的に改善しました。

鍼灸治療に加え、各疾患に対するセルフケアも指導しました。治療頻度は週1回で、2回目で胸郭出口症候群による右肩の重だるさが緩和され、5回目で肩関節の痛みが日常生活では気にならないまで改善しました。ただし、無理をすると痛みが再発するため、現在も月1~2回の治療を継続中です。

肩関節の疾患は通常、3カ月~1年以上かかることがありますが、この患者さんは2カ月の治療で改善に近づいています。その要因は、指導したセルフケアを継続的に実践したご本人の努力によるものです。

当院でお勧めしているセルフケアは、五十肩に有効な筋力トレーニングである「コッドマン体操」と、ゴムチューブを活用した肩関節周囲の筋トレです。患者さんがご自宅でできるよう、具体的なセルフケアを伝え、短い期間での緩和を目指しています。

治療の考察

  1. 正確な診断の重要性:
  1. カウンセリングにより正しい診断が行われ、理学検査による診断結果が明確に示されました。患者さんの症状に合わせた的確な診断は、治療の方針を明確にし、患者さんへのアプローチに役立ちます。
  1. 継続的なセルフケアの効果:
  1. 鍼灸治療だけでなく、患者さんに自宅で行えるセルフケアを指導することで、治療の効果が向上しました。特にセルフケアを地道に続けたことで、症状の改善が早まったと考えられます。
  1. 治療頻度の調整:
  1. 治療頻度は週1回で開始され、症状の変化に応じて調整されました。個々の患者さんに合わせた柔軟な治療スケジュールの確立が重要であり、その結果、患者さんの症状が適切に管理されました。
  1. コミュニケーションと教育の重要性:
  1. 何らかの疾患を抱える患者に対して、その疾患に関する理解と教育が大切です。治療の進行やセルフケアのポイントを患者に十分に説明し、患者さんの理解を深めることで、治療への協力が得られやすくなります。
  1. 継続的なフォローアップの重要性:
  1. 症状が改善しても、無理をすると再発する可能性があることから、月1~2回の治療を継続しています。継続的なフォローアップは、患者さんの状態をモニタリングし、必要に応じて治療計画を調整するために重要です。

総じて、この治療事例は患者中心のアプローチ、適切な診断と治療計画、継続的なセルフケアの指導、そして患者とのコミュニケーションが組み合わさることで、効果的な治療が実現した良い事例と言えます。