1.患者様の悩み・施術内容
40代女性の患者様が、「4年前の出産後から続くめまい」を主訴に来院されました。
めまいは、ふらふらと身体が揺れるような感覚で、ひどい時には立っていられず、吐き気を伴うこともありました。日常的にも「頭がぼんやりする」「集中できない」といった状態が続き、さらに耳鳴りや肩こり、頭痛などの不調も重なっていました。
加えて、「怒りっぽくなった」「気分が落ち込みやすい」といった精神的な不安定さもあり、身体と心の両面で負担を感じておられる状態でした。
4年間という長い期間症状が続いていたことから、「このまま改善しないのではないか」という不安も強く、日常生活にも支障が出ている状況でした。
当院では、まず丁寧な問診と触診を行い、身体全体の状態を確認しました。特に首から肩にかけての筋緊張が強く、頭部への血流に影響している可能性が考えられました。
施術では、内耳や脳への血流を整えることを目的に、椎骨動脈や内頚動脈・外頚動脈などの循環改善を中心にアプローチを行いました。また、耳周囲や首肩に現れている反応点を確認しながら、その都度状態に合わせて施術を進めました。
2.患者様の症状の説明
めまいにはさまざまな種類がありますが、本症例では「浮動性めまい」と呼ばれるタイプの症状がみられました。
浮動性めまいは、回転するような感覚ではなく、身体がふわふわと浮くような不安定感や、足元が定まらないような感覚が特徴です。また、「眼の前が暗くなる」「頭がぼんやりする」といった症状を伴うこともあります。
このようなめまいは、単独で起こるというよりも、肩こりや頭痛、眼精疲労、高血圧、更年期に伴う体調変化、自律神経の乱れなど、複数の要因が関係していることが多いとされています。
今回の患者様も、首肩のこりや頭痛、精神的な不調が同時にみられており、身体全体のバランスが崩れている状態でした。そのため、めまいだけに注目するのではなく、全体を見ながら整えていく必要がありました。
3.患者様の症状の原因
人の身体は、「目」「内耳」「筋肉や関節からの感覚(深部感覚)」といった複数の情報をもとにバランスを保っています。これらの情報は脳で統合され、私たちは姿勢や平衡を維持しています。
しかし、これらのどこかに不調が起きると、情報のバランスが崩れ、めまいとして現れることがあります。
本症例では、以下のような要因が重なっている状態でした。
・首から肩にかけての強い筋緊張
・頭部や内耳周囲の血流の低下
・長期間の不調による精神的な不安定さ
・産後の体調変化による身体バランスの乱れ
特に、首周囲の筋肉は、脳へ血液を送る重要な血管(椎骨動脈や頚動脈)の通り道に位置しています。そのため、筋肉の緊張が強くなると血流に影響し、めまいの一因となることがあります。
また、産後はホルモンバランスや自律神経の変化が起こりやすく、身体の調整機能が不安定になりやすい時期でもあります。このような背景が重なり、症状が長引いていたと考えられます。
4.治療結果と経過
施術は、身体の反応を確認しながら無理のない範囲で進めました。
初回は、全身の緊張を緩めながら血流を整えることを重視し、特に首から頭部にかけての循環改善を目的とした施術を行いました。
・2回目施術後
めまいの頻度が減少し、頭のぼんやりした感覚も軽減しました。日常生活での不安感が少し和らいできたとのことでした。
・3回目施術後
めまいや頭のぼんやり感はほとんど感じなくなり、生活の中での支障が大きく改善しました。ただし、精神的な不調はまだ残っている状態でした。
・4回目施術後
残っていた精神的不安定さも落ち着き、全体として症状の改善がみられました。
最終的に、4回の施術で日常生活に支障のない状態まで回復されました。
5.担当者からのメッセージ
めまいは、「内耳の問題」として考えられることが多い症状ですが、実際には首肩の緊張や血流の状態、自律神経のバランスなど、さまざまな要因が関係していることが少なくありません。
特に今回のように、産後をきっかけに長期間続いている症状の場合、身体全体のバランスが崩れているケースが多く見られます。
当院では、めまいという症状だけを見るのではなく、身体全体の状態を確認しながら施術を行っています。首や肩の状態、血流のバランス、精神的な緊張などを総合的に整えていくことで、結果的に症状の軽減につながることがあります。
また、長期間続いている症状ほど、「もう良くならないのではないか」と不安を感じてしまう方も多いですが、身体の状態を丁寧に整えていくことで変化がみられるケースもあります。
同じように、めまいやふらつき、頭のぼんやり感などでお悩みの方は、一人で抱え込まずに一度ご相談ください。無理のない施術を積み重ねながら、少しずつ安定した状態を目指していくことが大切だと考えています。






